懐かしい人にばったり会った。
Aちゃんは私を見つけるとものすごく驚いた顔をして、
そしてすごく喜んでくれてるような笑顔を見せてくれた。
(喜んでくれたと信じたい)
きっと、私も顔中に嬉しさが滲み出ていたと思うけど。
久し振りに会ったAちゃんのそばには可愛い奥さんがいて、
私にとても感じのいい挨拶をしてくれた。
私も一生懸命感じのいい挨拶を返した。
Aちゃんとは魚屋のお兄さんのことで、
かつて魚屋で一緒に働いていた。
およそ4年前にBちゃんやCちゃんと私と4人で
同窓会をして以来の再会だ。
Aちゃんは頭がよくて、いや地頭がすっごくよくて、
(地頭と言うのが大事、持って生まれた頭がよかった)
魚屋をさせておくには勿体なかった。
だけど、生き方は不器用で、世渡りは下手くそで、
そんな真正直なAちゃんを私は応援したくなって、
いつしか私はAちゃんが仕事をしやすいように協力をしていた。
毎日が年末のような病院の納めの仕事は、
病院の売掛の事務をしていた私には、
Aちゃんを助けられることがたくさんあったのだ。
寡黙でいぶし銀のようなAちゃんは、
常に回りにも神経を尖らせていて、以前の職場では、
「後ろ頭にも目があると言われていた」と話してくれた。
それにいつも2歩も3歩も先を見越した仕事をして、
頭は回転しっぱなしで、
私は「頭にも包丁を持っとるね」ってAちゃんに言った。
ある時、Aちゃんが「本当はオートバイの選手になりたかった」
と私に話してくれた時、私はすかさず言った。
「Aちゃんは頭を使う仕事やろ!
(頭を使った仕事をせんで何をする!)」
賢いAちゃんがいなくなってから、
私は仕事の理解の悪い奥さんに苛立つ度、
Aちゃんが私に言ってくれた言葉を思い出しては
自分の気持ちを落ち着かせた。
「凛さんも俺がおらんとやっていけんけど、
俺も凛さんがおらんとやっていけん」
嬉しかった。
ひとりでも私の人となりや仕事ぶりを率直に
認めてくれる人がいたことはすごく嬉しかった。
しかも有能なAちゃんに認めてもらえたことは
もっと嬉しかった。
ところで、
Aちゃんはスーパーコンピューターのように優秀だったけど、
人間らしいところもあった。
(このくらいのお話はAちゃんも許してくれるよね)
Aちゃんは私と話をする時、
いつも「ですます調」の丁寧語だった。
実は、魚屋の男子陣はみんな社長の奥さんのことを、
陰では「ばばぁ」と呼んでいた。
私は「奥さん」と言うので
男子陣たちと話していると「ばばぁ」と「奥さん」と
ふたりの人がいるようだった。
ある時、私はBちゃんに言った。
「Aちゃんって本当に言葉が丁寧やったよね。
みんなは奥さんのことを『ばばぁ』って言うけど、
Aちゃんだけは絶対に『奥さん』って言いよったもん」
すると、Bちゃんはニタニタ笑いながら言った。
「俺らと話す時は『くそばばぁ』やったよ。
俺らは『ばばぁ』やけど、
Aちゃんは『クソ』まで付いとったよ!」
そうやった~ん。
スーパーコンピューターのAちゃんも、
やっぱり人間やったんだぁと思うと妙に親しみが湧いたのだった。
こっちでは「からこ」と言います。
「あらかぶ」と言ったら分かるでしょうか?
背から骨にそって包丁を通すと、火の通りもいいし食べやすいです。
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Aちゃんは私を見つけるとものすごく驚いた顔をして、
そしてすごく喜んでくれてるような笑顔を見せてくれた。
(喜んでくれたと信じたい)
きっと、私も顔中に嬉しさが滲み出ていたと思うけど。
久し振りに会ったAちゃんのそばには可愛い奥さんがいて、
私にとても感じのいい挨拶をしてくれた。
私も一生懸命感じのいい挨拶を返した。
Aちゃんとは魚屋のお兄さんのことで、
かつて魚屋で一緒に働いていた。
およそ4年前にBちゃんやCちゃんと私と4人で
同窓会をして以来の再会だ。
Aちゃんは頭がよくて、いや地頭がすっごくよくて、
(地頭と言うのが大事、持って生まれた頭がよかった)
魚屋をさせておくには勿体なかった。
だけど、生き方は不器用で、世渡りは下手くそで、
そんな真正直なAちゃんを私は応援したくなって、
いつしか私はAちゃんが仕事をしやすいように協力をしていた。
毎日が年末のような病院の納めの仕事は、
病院の売掛の事務をしていた私には、
Aちゃんを助けられることがたくさんあったのだ。
寡黙でいぶし銀のようなAちゃんは、
常に回りにも神経を尖らせていて、以前の職場では、
「後ろ頭にも目があると言われていた」と話してくれた。
それにいつも2歩も3歩も先を見越した仕事をして、
頭は回転しっぱなしで、
私は「頭にも包丁を持っとるね」ってAちゃんに言った。
ある時、Aちゃんが「本当はオートバイの選手になりたかった」
と私に話してくれた時、私はすかさず言った。
「Aちゃんは頭を使う仕事やろ!
(頭を使った仕事をせんで何をする!)」
賢いAちゃんがいなくなってから、
私は仕事の理解の悪い奥さんに苛立つ度、
Aちゃんが私に言ってくれた言葉を思い出しては
自分の気持ちを落ち着かせた。
「凛さんも俺がおらんとやっていけんけど、
俺も凛さんがおらんとやっていけん」
嬉しかった。
ひとりでも私の人となりや仕事ぶりを率直に
認めてくれる人がいたことはすごく嬉しかった。
しかも有能なAちゃんに認めてもらえたことは
もっと嬉しかった。
ところで、
Aちゃんはスーパーコンピューターのように優秀だったけど、
人間らしいところもあった。
(このくらいのお話はAちゃんも許してくれるよね)
Aちゃんは私と話をする時、
いつも「ですます調」の丁寧語だった。
実は、魚屋の男子陣はみんな社長の奥さんのことを、
陰では「ばばぁ」と呼んでいた。
私は「奥さん」と言うので
男子陣たちと話していると「ばばぁ」と「奥さん」と
ふたりの人がいるようだった。
ある時、私はBちゃんに言った。
「Aちゃんって本当に言葉が丁寧やったよね。
みんなは奥さんのことを『ばばぁ』って言うけど、
Aちゃんだけは絶対に『奥さん』って言いよったもん」
すると、Bちゃんはニタニタ笑いながら言った。
「俺らと話す時は『くそばばぁ』やったよ。
俺らは『ばばぁ』やけど、
Aちゃんは『クソ』まで付いとったよ!」
そうやった~ん。
スーパーコンピューターのAちゃんも、
やっぱり人間やったんだぁと思うと妙に親しみが湧いたのだった。
こっちでは「からこ」と言います。
「あらかぶ」と言ったら分かるでしょうか?
背から骨にそって包丁を通すと、火の通りもいいし食べやすいです。
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